運送業許可申請には、大きく分けて「ヒト」「モノ」「カネ」の要件があります。加えて、申請受付後に法令試験が行われます。これに合格できなかった場合は要件を満たしたとしても許可はおりません。運送業の許可を取得するためには、法令試験に合格することも条件になっています。
本記事では、「法令試験」について詳しく解説していきたいと思います。どんな問題が出るのか不安ですよね。申請段階でも負担はかなり大きいですが、最後のハードルとしてこれを乗り越える必要があります。
国土交通省の通達「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請の処理方針について」にて、法令遵守項目の審査のひとつに「申請者又はその法人の役員は、貨物自動車運送事業の遂行に必要な法令知識を有し、かつ、その法令を遵守すること。」があります。これによって、貨物運送事業に専従する役員が、法令試験を合格する必要があります。
「人」「物」「カネ」に関する内容については、こちらの記事にて解説をしておりますので是非確認をしてください!
法令試験の受験者とは?

法令試験は誰でも受験出来るわけではありません。
- 申請する個人事業主
- 申請者が法人の場合は、運送事業にかかわる常勤の役員のうち1人
が受験をします。複数の役員が受験することはできないため、ご注意ください。
法令試験の出題範囲や設問形式について
試験時間は50分間で、試験の実施場所は各地方運輸局となります。法令試験の出題範囲は以下の13項目の中から30問出題されます。
そのうち8割以上(24問以上)解答することで合格となります。
設問方式は、○×方式及び語群選択方式とされています。
| ①貨物自動車運送事業法 ②貨物自動車運送事業法施行規則 ③貨物自動車運送事業輸送安全規則 ④貨物自動車運送事業報告規則 ⑤自動車事故報告規則 ⑥道路運送法 ⑦道路運送車両法 ⑧道路交通法 ⑨労働基準法 ⑩自動車運転者の労働時間等の改善のための基準 ⑪労働安全衛生法 ⑫私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 ⑬下請代金支払遅延等防止法 |
当日の持ち物として、運送業許可申請受付後に運輸支局から渡される法令試験実施通知書、筆記用具、本人確認書類(マイナンバーカードなど)を持参します。受験時は、紙の資料を含めて一切の持ち込みが禁止されていますが、出題範囲の条文集が渡されます。30分以上遅刻をした場合は、法令試験を受験することができませんのでご注意ください。
法令試験の実施方法について
①法令試験は、隔月(奇数月)で実施されます。
②初回の法令試験は、原則として許可申請書等を受理した月の翌月以降に実施される試験を受験します。
③法令試験を実施した結果、合格基準に達しない場合は、翌々月に1回に限り再度の法令試験を受験できます。
④再試験において合格点に達しない場合は、却下処分とする。ただし、当該申請についての取下の願い出があった場合は、この限りではない。
⑤法令試験に合格すれば、許可・認可申請が開始されることになります。
①法令試験は、隔月の奇数月で実施されるため「1月、3月、5月、7月、9月、11月」というように年に6回のみとなります。
②申請した月の翌月以降の奇数月が受験する月になりますので、6月に申請した場合は、次の奇数月である7月以降に実施される法令試験を受験します。
③受験した結果、不合格の場合は、次の奇数月に再度受験することができます。
④更に2回目の法令試験も不合格だった場合、申請取り下げとなります。申請を取り下げるには「一般貨物自動車運送事業経営計画書の申請取り下げ願い」を管轄の地方運輸支局に提出します。
その後、申請書一式が還付されますので、必要に応じて公的な添付書類を取得しなおしたり、申請書類に押印しなおすことで再度申請を受け付けてもらうことができます。
法令試験に臨むにあたって

貨物自動車運送事業法第6条3号
その事業を自ら適確に、かつ、継続して遂行するに足る経済的基礎及びその他の能力を有するものであること。
この法令試験は、貨物自動車運送事業法第6条第3項に規定する許可の基準に適合するかどうかを審査するために行われるものになっています。
今後、運送業を営むに当たって重要な法令知識が問われることになります。お忙しい事とは存じますが、丁寧に学習していただくことをお願い申し上げます。
役員法令試験の対策としては、過去問を解くことが基本になります。条文集を参照しながら過去問を繰り返し解くことによって、法令の内容を理解し、同時に条文集のどのあたりに記載されているかを確認していきましょう!
役員法令試験の過去問は運輸局のホームページにおいて公表されておりますので適宜ご確認ください。
まとめ

運送業許可を取得するためには、メインとなる貨物自動車運送事業法、道路運送法とそれにまつわる公示や施行規則の他に、都市計画法、消防法、農地法、建築基準法などが複雑に絡み合うため、これらの法律に定められた基準をクリアしなければ申請には至りません。
運送業許可に関して何かご不明な点などございましたら、専門家である行政書士までお気軽にお問い合わせください。





