トラックを使った運送業を始めるには、管轄の運輸支局に必要書類を提出して許可を得る必要があります。
運送業に使用する営業所・車庫などが決まったら、実地調査に基づいて求積図、写真図、配置図などを作成することになるのですが、この「必要書類」は数が多いだけでなく、作成が複雑なものもあります。
そこで本記事では、運送業許可申請の事前準備として申請者ご自身で準備をしていただく書類/不動産調査を基にして作成する書類について、解説していきます!
必要書類の重要性
必要書類は、国土交通省または地方運輸局が審査をします。申請書、事業計画と添付書類を照らし合わせ、要件を満たしているかを確認し、すべてを満たしていれば許可が下りることになります。不備があると、補正対応の通知が入ることになり、いつまでたっても許可が下りません。
必要書類を確実に作成することが必要になります。なるべく早急な対応を心がけましょう。
【事前準備編/不動産調査等】必要書類の一覧

運送業許可申請の事前準備として必要になる書類は以下のとおりです。
【主として申請者ご自身で準備する書類】
・事業主又は役員全員の履歴書
・運行管理者・整備管理者の履歴書
・定款の写し
・直近会計年度の貸借対照表の写し/資産目録
・戸籍抄本及び住民票
・営業所・車庫に関する土地建物の登記簿謄本または賃貸借契約書の写し
・資格者証等の写し
・運転者の免許証等の写し
・自動車任意保険の見積もり
【不動産調査に基づく書類】
・事業施設付近の見取り図
・求積図
・現況写真と写真図
・営業所・休憩施設の配置図
・営業所等の駐車場の直線距離がわかる書類
それでは1つずつ書類の内容を紹介していきます。
事業主又は役員全員の履歴書
申請者が個人事業主の場合は事業主、法人のときは役員全員の履歴書を用意してもらう必要があります。特に決められた書式はありませんので、お客様に任意のものを書いていただきます。
運行管理者・整備管理者の履歴書
運送業許可申請時に運行管理者・整備管理者の履歴書の提出は義務付けられていません。もっとも、「運行管理者及び整備管理者の承諾書」、「整備管理者選任届」が必要書類になるのですが、履歴を記載する欄があるため作成しておくと利点が多いです。
定款の写し
申請者が法人の場合は、会社定款の「事業目的」に、貨物自動車運送事業と記載してあることが必要です。原本証明が必要です。
直近会計年度の貸借対照表の写し/資産目録

直近分のものになります。新規の会社の場合は期首の対照表を提出します。申請者が個人の場合は資産目録を作成します。決まった様式はありません。
戸籍抄本及び住民票
申請者が個人の場合に必要な書類となります。住民票の本籍の記載は不要です。
営業所・車庫に関する土地建物の登記簿謄本または賃貸借契約書の写し
自己所有の場合は、不動産登記簿謄本又は固定資産課税台帳登録事項等証明書等
賃貸借の場合は、賃貸借契約書の写し、使用承諾書の写しが必要になります。
●賃貸借契約書については、契約期間が基本的には1年以上必要ですが、1年未満であっても契約更新方法が「自動更新」である旨の記載があれば問題ありません。
●使用承諾書については、賃貸借契約書に記載された使用目的を確認してください。「住居として使用することに限る」などの記載がある場合は、貸主が営業所等に使用することを許可することを証した「使用承諾書」を提出する必要があります。
許可申請時に賃貸借契約書が必要なため、使用しないのに3,4ヶ月は賃料がかかってしまうことになります。貸主に交渉するなどして、費用負担を抑えていきましょう。
資格者証等の写し
運行管理者資格者証の写し、運行管理補助者の運行管理者基礎講習修了証の写し、整備管理者資格者証等の写しを添付します。
これから運行管理者試験を受験する場合など、申請時に資格者証等がない場合でも申請受付は可能です。ただし、この場合は許可取得までに資格者証等の写しが提出できないと、運送業許可証は交付されません。
運転者の免許証等の写し

許可直前でも差し支えありませんが、経営許可申請書に運転者の氏名を記載する欄があるため、事前に取得しておき、申請時に添付をしておきましょう。
自動車任意保険の見積もり
申請時の必要書類ではありませんが、事業の開始に要する資金を算出する際に必要になります。
不動産調査を元に作成する書類について

事業施設付近の見取り図
営業所、休憩・睡眠施設、車庫の詳細な図面がわかる見取り図を作成します。
求積図

営業所・休憩施設(睡眠施設)・車庫の面積を表した求積図を作成します。営業所・休憩施設については事業運営と関係のない部分は除いて求積します。車庫においても駐車できないスペースは省いて求積します。
不動産仲介会社等が作成した公図等があると、おおよその情報がわかります。
現況写真と写真図
営業所/車庫の外観、営業所の入り口、営業所の内観、休憩・睡眠施設の内観を撮影し、その写真がどの角度から撮影したかがわかるように、図面を作成します。
営業所・休憩施設の配置図
申請時に備品などが揃っていない場合は、何をどこに配置する予定なのかがわかるように配置図を作成します。備品が揃っている場合は、現状の配置に合わせて配置図を作成します。
営業所等の駐車場の直線距離がわかる書類
営業所・休憩施設と車庫間の直線距離を計測し、添付します。営業所等と車庫をマーキングして直線距離がわかるように記載します。
車庫に付された条件への対応
申請した車庫が交通安全上で何らかの問題がある場合、一定の条件が付されます。その場合は、運輸局の言う通りの条件を満たすことができなければ、許可を取得することができません。必ず対応するようにしましょう。
国土交通省または地方運輸局が、運送業を始めようとする事業者に多くの必要書類を求めるのは、「申請者が法律を遵守して運送業を営業することができるか」を確認するためです。難しい場合は、専門家の協力を得ることを推奨致します。
まとめ

運送業許可を取得するためには、メインとなる貨物自動車運送事業法、道路運送法とそれにまつわる公示や施行規則の他に、都市計画法、消防法、農地法、建築基準法などが複雑に絡み合うため、これらの法律に定められた基準をクリアしなければ申請には至りません。
運送業許可に関して何かご不明な点などございましたら、専門家である行政書士までお気軽にお問い合わせください。


